「石灰沈着性腱板炎」という何とも聞きなれない病名。
しかし肩の痛みで整形外科を受診された方の割と多くの方がこの石灰沈着性腱板炎という診断を受けることがあります。
名前だけみると何だかかなり悪そうなこの病名。実際のところはどのようなもので、どのような原因で起きるものなのでしょう。
今回はそんな気になる石灰沈着性腱板炎を徹底解説していきます。
実際に石灰沈着性腱板炎と診断された方や、今現在肩の痛みで悩まされている方などは是非ご覧ください。
石灰沈着性腱板炎とは?
肩関節を保つためには回旋筋腱板(ローテーターカフ)という4つの筋肉が肩甲骨と肩を繋ぎとめています。
石灰沈着性腱板炎とはこの回旋筋腱板の中にカルシウム結晶(石灰)がたまってしまうことで起こる病気です。
石灰沈着により安静時も痛いときは、この石灰を溶かそうと免疫機能が働いているときに感じるものだそうです。
カルシウム結晶(石灰)は身体の至るところでたまることがありますが、特に肩関節の腱板内でたまることが多いため石灰沈着性腱板炎という病名がついています。
発症年齢は30代~60代と割と広めで、男女比は大差ありませんがわずかに女性が多いようです。
代表的な症状は肩への痛みですが、前側に痛みを感じる人もいれば後ろ側に感じる人もいます。
また特に肩を上げる(ばんざい)動作に制限がかかってしまい中には全く肩を上げることができないという人もいます。
石灰沈着性腱板炎の原因は?
石灰沈着性腱板炎はカルシウム結晶(石灰)が腱板内にたまることで起こる肩の病気ですが、実はそのカルシウム結晶(石灰)がたまる原因自体は解明されていません。
一説によると肩を頻繁に動かすさいに、肩峰という骨と肩の骨がぶつかり合うことにより腱が変性を起こしカルシウム塩を分泌させ蓄積することで起こると言われています。しかし、現状はっきりとした解明には至っていません。
また、中高年層で、肩周りを頻繁に使用する仕事やスポーツをしている人に石灰沈着性腱板炎にかかる人が多いことから加齢と使い過ぎ(オーバーユース)も原因の一角であることは間違いなさそうです。
石灰沈着沈腱板炎の対策は?
早期であれば、関節内への注射にて石灰を溶かす或いは、石灰の吸引を行い対処することが可能なことがありますので、まずは病院での治療が優先といえます。
個人差はありますが、注射にて石灰がとれれば疼痛がかなり改善する人もいます。
逆に石灰化沈着してからかなり時間が経つと溶かせないし、吸引もできないことがあり、石灰によってその周りの腱板筋や滑液包などの組織の動きが悪くなることで挙げるときや腕を捻る動作などで痛みが残るときがあります。そのようなときは、リハビリや整体、接骨院などでの徒手療法にて動きを改善させていきます。石灰による安静時の痛みはあくまで石灰を溶かそうとするときの痛みであるため、石灰が残っていても安静時の痛みは経時的に軽減していきます。しかし、動かした時の痛みは炎症による癒着などが発生するため疼痛が残ることが多いです。リハビリで石灰が消えるわけではないですが、石灰によって動きが悪くなった組織の動きが改善することで、痛みさせるさせることが期待できます。
また、予防策としては石灰沈着性腱板炎の明らかな原因がはっきりしない以上、確実な予防方法というものは存在しません。
しかし、以下のようなことに気を付けることで石灰沈着性腱板炎のかかるリスクは減らすことができます。
- 肩に負担をかけた時はアイシングをする
- 日頃から適度なストレッチを行う
- 特定の方向だけを下にして寝ない
肩関節はただでさえ日頃から腕という重さを支えており疲労困憊状態です。そのうえ仕事やスポーツで肩関節を使うことでその疲労はピークに達します。
そんな時はまずアイシングをすることで肩関節の炎症がとれるだけでなく血流が改善します。結果疲労回復の効率化向上するため石灰沈着性腱板炎の予防・対策に繋がるでしょう。
また出来るだけ肩に負担を掛けないという点からみれば就寝中に片方の肩だけを下にして寝てしまう姿勢もおすすめできません。
まとめ
石灰沈着性腱板炎についてご理解頂けましたか?
症状の個人差が大きい病気ですので、痛みが軽い場合は経過観察でも問題はありませんが、痛みが酷い時は中には救急車を呼ぶ人もいるくらいです。
少しでも痛みが増強してきた場合は一度お近くの整形外科を受診することをおすすめします。