スポーツなどで肩を大きく動かしたときや、肩を強くぶつけたとき、強い痛みを感じたことはありませんか?
「骨折や脱臼ではなさそう」だと感じても、通常とは違う強い痛みだとしたら、肩の亜脱臼かもしれません。
亜脱臼は関節がはずれかかり、自分でもとに戻せる(整復できる)状態のことです。
実は亜脱臼だと「肩がはずれた」と感じないことがあり、そのままにしておく人もいます。
しかし亜脱臼を放置すると癖になり、より重度の靭帯や軟骨の損傷につながりかねません。
今回は、意外に知られていない「亜脱臼」の症状や特徴について解説します。
肩の亜脱臼は本当に起こるの?
「肩の関節が外れそうになって、自分でもとに戻せるなんて、本当にあるの?」と思うかもしれませんが、本当に亜脱臼はあります。
転倒して肩をぶつけたときや、バレーボールなど腕を大きく動かすスポーツで起こりやすいです。
亜脱臼は瞬間的・一時的に強い痛みやしびれがあり、「肩が動かない」と感じるものの、自分でもとに戻せる(整復できる)のが特徴。
「痛い!」とは感じたけれど、亜脱臼だと気づいていない人もいるかもしれません。
肩の亜脱臼の原因は?
実は肩の関節は、体の中で「最も安定性がない関節」といわれていて、強い力がかかると比較的簡単に脱臼してしまう特徴があります。
とはいえ、誰でも彼でもしょっちゅう脱臼・亜脱臼するわけではありませんよね。
脱臼や亜脱臼の原因は、主に二つあります。
ひとつはケガで、もうひとつは肩関節がゆるいこと(ルーズショルダー)です。
「ルーズショルダー(動揺性肩関節)」は、肩関節をサポートする筋肉や靭帯の固定力が低下して、関節が異常に緩んでいる状態。
野球やテニス、水泳の自由形(クロール)やバタフライなど、肩を大きく上に回すスポーツをしている人に起きやすい症状です。
また遺伝などによって生まれつき靱帯が緩く、ルーズショルダーになりやすい人もいます。
どうやって肩の亜脱臼ってわかる?
一般的な亜脱臼の症状は、「肩の強い痛み」「腕のしびれ」「一時的に腕が動かせなくなる」などです。
中には「鈍痛」「脱力感」「違和感」などの症状を感じる人もいます。
さまざまな痛みの感じ方があるうえ、自分で関節を元に戻せるため「肩が痛かったけど、本当に亜脱臼だったのかどうか」の判断は、自分ではできないこともあります。
戻ったからといって亜脱臼をそのまま放置すると、脱臼や亜脱臼を繰り返す癖がつくこともあり、より重度の軟骨損傷につながりかねません。
ですから、亜脱臼を疑ったら、本当に亜脱臼かどうか診断してもらうため、整形外科を受診しましょう。
整形外科では、問診やMRIなどによる画像検査、身体所見が行われます。
身体所見とは、医師が患部などを刺激して反応を見ること。
亜脱臼の場合「バンザイの姿勢をとると、脱臼しそうな感じがある」といった症状があるはずです。
まとめ
スポーツなどで起きた「肩の強い痛み」は亜脱臼かもしれません。
「関節が外れかかるものの自分で整復できる」のが亜脱臼ですが、「元に戻ったから大丈夫」と軽く考えるのは禁物。
亜脱臼でも軟骨などに損傷が出ている可能性がありますし、放置すると脱臼や亜脱臼を繰り返しやすくなることも。
脱臼・亜脱臼を繰り返すようになってしまったら、手術が検討されることもあります。
「この痛み、亜脱臼かも」と思ったら、まずは整形外科で診断を受け、早めに再発防止のための固定法などの治療を受けましょう。