腱板断裂は肩の「腱板」が断裂している状態です。
筋肉の断裂であれば自然治癒することもありますが、腱板断裂では骨と筋肉がくっついている部分が断裂しているため、自然に元に戻ることはほぼありません。
そのため放置していると肩関節が動かせる範囲が狭くなったり、痛みが続くなどの後遺症が残ることも。
また腱板断裂が起こっていても痛みがない人もいるため、気づかないうちに断裂が悪化して、断裂ができてしばらく経ってから痛みが出てくることもあります。
今回は腱板断裂の症状や後遺症について解説します。
腱板断裂ってどういう状態?
腱板断裂は、肩腱板が部分的または完全に切れてしまった状態です。
「腱」とは筋肉と骨をつなぐ組織のこと。そして「肩腱板」とは、肩関節付近にある4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)の腱が板状に集まっているものです。
肩腱板は腕の骨を「関節窩(かんせつか)」と呼ばれる骨の受け皿に引き寄せる役割を持っています。この部分が切れてしまうのです。
断裂が起こる原因はさまざまです。
怪我によって突発的に切れることもありますし、野球やテニスなど腕を上げる動作が多いスポーツによる負荷で切れることもあります。
また加齢も原因になるため、腱板断裂は60代以上の男性の利き手側で起こりやすいです。
腱板断裂の症状は?
腱板断裂では切れた腱板が他の筋肉に引っかかり、痛みが出ることがあります。炎症が強くなり、眠れないほど痛むケースも。
また断裂が大きい場合には、受け皿に腕の骨を引き付ける力が弱くなります。そのため「自力で腕を上げられない」「力が入りにくい」などの症状が出ます。
主な症状を箇条書きで紹介しますね。
- 肩の深い部分の痛み
- 腕を上下に動かすと痛い
ただし腱板断裂が起こっていても無症状の人も多くいます。腱板断裂を起こしている人の2/3以上には自覚症状がないというデータもあります。
なお四十肩・五十肩のように、肩の動きが硬くなる症状(拘縮)はあまり出ません。「自力では腕が上げられないが、他人に補助してもらえれば上げられる」という人が多いです。
腱板断裂によって残る可能性のある後遺症
肩腱板が断裂した場合には、断裂部分が自然治癒(元のとおりに骨と腱がくっつく)することはほとんどありません。
筋肉の損傷(肉離れ)であれば筋肉同士なので最終的にはくっつくことが多いのですが、「骨と腱」が元通りくっつくのは難しいのです。
そのため「肩関節が動かしにくい」「痛い・しびれる」といった後遺症が残ることがあります。
「肩関節が全く動かなくなる」というケースはまれですが「自分では腕を持ち上げてにくい」という症状が残るかもしれません。
また時間が経つと断裂が大きくなってしまう可能性も高いです。最初は無症状でも、時間とともに症状が出てくる人もいます。
まとめ
腱板断裂では、放置していても元のとおりに骨と腱がくっつくことはほとんどありません。そのため肩の動きが制限されたり、痛みが引かないなどの後遺症が残ることがあります。
腱板断裂の自然治癒は期待できませんが、一部断裂の場合には、リハビリやヒアルロン酸注射などの治療によって、「肩関節が動く範囲を広くする」「痛みを抑える」などの改善が可能です。
リハビリなどで効果が出ない場合は、手術も検討されるでしょう。
放置していると断裂が大きくなってしまう可能性が高いので、肩に違和感を感じたり「腱板断裂かな?」と感じたら、知らんぷりをせず整形外科を受診することをオススメします。