「腕や肩をあげるときに痛い」「腕や肩を動かすときにゴリッと音がする」という症状に悩んでいる方はいませんか。
「肩の痛みだから、おそらく四十肩・五十肩だろう」と思っているかもしれませんが、実はその症状、「腱板断裂(けんばんだんれつ)」かもしれません。
腱板断裂は肩のインナーマッスルのスジが切れてしまった状態。外傷によって切れることもありますが、加齢によって「いつの間にか切れてしまっていた」というケースもあります。
今回は「腱板断裂とはどんな症状か」、そして腱板断裂の原因と対策について解説します。
腱板断裂とは?
腱板断裂がどのような状態なのかを説明するため、まずは「腱板」について解説します。
腱板とは、肩の深いところにあるインナーマッスル(棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋)のスジです。腕の骨と肩甲骨の受け皿がずれないように保つ役割を担っています。
この腱板が損傷・断裂するのが「腱板断裂」です。
腕の骨と肩側の受け皿の安定性が損なわれるため、腕を上下に動かすときなどに肩に鈍い痛みを感じるのが特徴です。ただ腱板断裂があっても痛みを感じない人も多くいます。
なお四十肩・五十肩は、痛みが強い急性期が終わり慢性期に入ると「拘縮」という症状で、肩がかなり動かしづらくなります。他人の力を借りて肩を上げようとしても、硬くて動かせない状態です。
一方、腱板断裂の場合は「痛みで腕を上げられない」ということはあっても、拘縮は少ないとされています。
腱板断裂の原因
腱板断裂の主な原因は以下のとおりです。
- 外傷(転倒など)
- 肩への急な負担(重いものを持ち上げるなど)
- 日常的な「肩の使いすぎ」
- 加齢
- 遺伝
外傷や肩への急な負担では、一気に断裂が起こる可能性があります。
一方で「日常的な肩の使いすぎ」により、徐々に腱板がすり減り断裂に至ることも。具体的には「腕を高い位置にあげる動作」などが腱板への負担になります。
職業で言うと塗装職人さんや大工さん、スポーツだと野球・テニス、日常生活だと布団の上げ下ろしなどですね。
また加齢も原因のひとつ。実際、腱板断裂は60代で起こることが多いです。
日常的な肩への負担や加齢で腱板が断裂しやすくなっているところに、ちょっとした怪我が加わって腱板断裂が起こることもあります。
腱板断裂になってしまったらどうすれば良い?
腱板断裂を放置していると、断裂が大きくなり「腕が全然上がらなくなる」とか、肩関節が不安定になるせいで「軟骨がすり減って変形性関節症になる」という可能性もあります。
ですから「腱板断裂では?」と思ったら、整形外科を受診して治療を受けましょう。
整形外科では痛みをおさえる薬を処方したり、リハビリを行ったりします。リハビリは「損傷していない筋肉をうまく使えるようにする」「肩甲骨の動きをよくする」ことなどを目的に行います。
ただし薬やリハビリでは、断裂した腱板が元に戻る(くっつく)可能性は低いです。根本的に断裂を治したい場合には、手術が検討されます。
まとめ
腱板損傷は肩腱板が損傷している状態です。肩の痛み、動かしにくさなどの症状があります。
原因は怪我や加齢のほか、スポーツ・仕事・家事などで日常的に肩に負担をかけていることなどです。
腱板損傷を疑った場合、まずは整形外科で診察・治療を受けましょう。
ただ「整形外科を受診したものの、安静を指示されて終わってしまった」「リハビリを受けられなかった」といった体験談も。
「安静にするだけでいいのか不安」「丁寧なカウンセリングを受けたい」などのお悩みがある肩は、腱板損傷に詳しい整体院・整骨院に相談するのも選択肢のひとつです。