肩の疾患のひとつに腱板断裂というものがあります。
名前から何となくどのような疾患なのかは想像がつく人も多いでしょうが、実際に腱板断裂の詳細を知っている人は少ないのが現状です。
また、腱板断裂になってしまうことで、四十肩や五十肩などによく起こることがある「拘縮肩」になってしまうことがあるのか?という疑問を持たれる人も多いよう。
今回はそんな人達のために腱板断裂と拘縮肩についてを解説していきますのでご覧ください。
腱板断裂とは?原因や症状は?
腱板断裂と言われて「腱板が断裂している」ということは理解できても、そもそも腱板って何?と思う人も多いはず。
腱板というもの肩にある4つのインナーマッスルと呼ばれる筋肉を指します。
その筋肉が骨に付着している寸前の部分を「腱」と呼び、その部分が断裂している状態を腱板断裂と呼びます。
腱板断裂といえば、何か激しい運動をしたり、肩を思いきり捻ったりした場合に起こりそうなイメージを持たれる人が多いのではないでしょうか?
実際に、そのような外的要因による腱板断裂は全体の半分程度と言われており、その他の腱板断裂ははっきりとした原因が分からないものです。
主に60歳以上になると腱板断裂を発症することが多いため、60歳以上での肩の痛みいては五十肩との精査が必要となってくると思います。
また、肩をよく使う職業などでは40歳代でも四十肩ではなく腱板断裂を発症することがあります。
症状は顔より上に腕を挙げる動作で痛みがでるが、腕を下ろして行う動作、例えばデスクワークやテーブル上での腕を使う動作では痛くないといった特徴があります。
また、五十肩はどの方向に動かしても痛みが出るのに対し、腱板断裂ではある一定の方向のみ痛みがあるといった特徴がありますが、腱板の切れる位置や程度により症状の個人差があるため、詳しくは専門家に診てもらうことをお勧めします。
腱板断裂から拘縮肩にはならないって本当?
メディアやSNSでは腱板断裂では肩の拘縮が起きないと言う話をよく聞くことがあります。
しかしながら実際は腱板断裂から拘縮肩になることは多々あります。
ただし、五十肩が全ての方向に動きが制限されるのに対し、腱板断裂後では上に手を挙げるのは硬くて挙がらないが、後ろに手を回すのは比較的大丈夫など、腱板断裂後の拘縮肩は一部の方向のみ制限されるケースが多いです。
尚、腱板断裂した直後1ヶ月程度は、関節はまだ固まっておらず、拘縮肩になっていることはほぼありません。
腱板断裂後の拘縮肩は3ヶ月以上痛みが改善されないなど、発症後数ヶ月経過が経っているケースで起こると言えます。
五十肩では1ヶ月以内でも強い拘縮肩になってしまうケースもあるため、関節が固まる早さも疾患によって違うという特徴があります。
腱板断裂で夜間痛はあるの?
夜間痛とは就寝中に肩や腕の痛みが出現することを言います。そして夜間痛によって目が覚めて寝不足となることが、患者さんの最も深刻な悩みのひとつでもあります。
しかし夜間痛の症状が多くみられる肩の疾患は四十肩・五十肩の方が多く、腱板断裂ではどちらかというと、朝目が覚めたときに痛みを感じる起床時痛というものが多いと思われます。ちなみに起床時の痛みは肩の関節が固まっているいわゆる拘縮肩になっている人が寝ている間に肩が更に硬くなっていることで朝起きたときに肩を動かすと痛みがでるというケースが多いため、五十肩でも腱板断裂でも共に起床時痛があるケースが多くなります。
夜間寝ているときの痛みか夜は眠れるが、朝になると痛みが強くなっているケースでは厳密には原因が違うことが多いため、病院や整体院に通院した際は、どちらでシーンで痛みがあるかも説明すると治療選択のヒントとなるため説明することをお勧めします。
腱板断裂の改善方法とは?
まず、断裂した腱板が自然と修復することは難しいと考えておくことが賢明です。
もし、断裂した腱板は完全に修復して欲しいとお考えの人は「手術」で腱板を繋ぎ合わせることが必要になります。
しかし断裂した部分が引っ付かなくとも、多くの場合は手術をせずに、投薬とリハビリを併用するなどの保存療法にて肩の動きも痛みも改善されるケースが多いです。
ただし、無理なストレッチや自己流の運動などは症状の悪化に繋がる可能性も。
1日でも早く改善させたいという気持ちがあれば、専門家のアドバイスをしっかりと聞くことが大切です。
まとめ
腱板断裂でも拘縮肩になるケースがある。
正し、四十肩や五十肩が全ての方向に関節が動かしづらくなるのに対し、腱板断裂後の拘縮肩は一定の方向のみ制限されるのと、五十肩よりは拘縮の程度は軽いことが多い。
腱板断裂は断裂した部分がその後引っ付くことはないが、投薬やリハビリを併用することで痛みや動かしづらさは改善することができることが多い。
それぞれに症状の特徴はありますが、あくまでも一般的なものです。
もちろん例外や、特殊なケースなどもあるため自己判断はおすすめしません。
気になることや、痛みなどが少しでもある場合は、まずは医療機関などで検査を受けてみましょう。