40~50代の中高年に発症しやすいと言われている五十肩。
ある日突然肩の激しい痛みが始まり、思うように肩が動かず、夜も痛みで寝られない、などの症状が出ます。
このような五十肩の症状への効果的な治療法として「ヒアルロン酸注射」があります。「ヒアルロン酸」とはふだん聞きなれない言葉ですが、どんなものなのでしょうか。
また、「ヒアルロン酸注射」とはどのような治療法で、どのような効き目があるのか。
五十肩の治療におけるヒアルロン酸注射の概要とその効果や方法について解説します。
そもそもヒアルロン酸注射ってどんなものなの?
ヒアルロン酸は、人間の体内にもともとあるゼリー状の物質です。皮膚の表皮と皮下組織の間にある、「真皮」と呼ばれる部分や、関節液・関節の軟骨などに多く存在しています。
ヒアルロン酸はコラーゲンが主成分でゴムのように弾力があるのが特徴。そのため、関節部分では、骨と骨の間の滑りをよくしたり、関節の動きをよくしたりする役割を担います。
外傷や長年の積み重ねで、関節部分の軟骨がすり減ってくると、関節液に含まれるヒアルロン酸が減少し。れを補給するのがヒアルロン酸注射です。
ヒアルロン酸注射は、体の中のヒアルロン酸と同じ成分の製薬を用いた治療法ですので、アレルギー反応を起こす危険性や副作用が少なく、体に負担をかけにくい、安全性の高い方法として知られています。
関節痛の治療として長い歴史を持ち、広く行われている方法です。
五十肩に対するヒアルロン酸注射の効果
五十肩は、肩周辺の組織が老化によって炎症を起こすことで、関節が痛み動きが悪くなる病気です
痛みの激しい急性期(発症から数週間ほどの期間)には、まず痛み止めの消炎鎮痛剤などの外用や内服による治療が行われます。
その後、日常生活の動作が制限されたり、痛みが引かず夜間痛を伴ったりする場合はステロイド剤の注射を行います。
その段階であわせて検討されるのがヒアルロン酸注射。
ヒアルロン酸は、骨と軟骨の間の潤滑油の役割や、骨同士の衝撃を和らげるクッションの役割を果たし、関節の動きをスムーズにさせる働きがあります。
関節液内のヒアルロン酸を補給することで、痛みや動作制限を改善し、軟骨を保護できる可能性があるのですね。
ステロイド剤に比べて鎮痛緩和の効果は弱いですが、関節の動きをスムーズにし、軟骨を保護して痛みを和らげる効果が期待できます。
ヒアルロン酸注射はどこでできるの?
五十肩の治療としてのヒアルロン酸注射は、主に整形外科で受けることができます。医師の診察のもと、医師と相談しながら治療を受けるかどうかか決定されますよ。
ヒアルロン酸注射は比較的短時間で受けられる治療と言われています。
問診と消毒・注射で、ヒアルロン酸注射それ自体は10分程度で終わることが多いです。(ステロイド剤注射やレントゲン、リハビリテーションなど、その他の診療・治療が合わせて行われることもあります。)
また、関節痛を伴う四十肩・五十肩の治療としてのヒアルロン酸注射は、保険診療の対象となっています。治療費も高額なものではないですが、詳細は病院に確認した方が良いでしょう。
痛みが発症してから治療開始までの期間が長いと、治療期間も長くかかるので、痛みが発症したらできるだけ早く治療を開始することが大切です。
まとめ
ヒアルロン酸は関節液の中で、骨と骨や軟骨との潤滑油やクッションの役割を果たす重要な物質です。
ヒアルロン酸注射は、五十肩などの関節症治療に有効とされ、副作用や弊害の少ない治療法として広く行われています。
五十肩の急性期の痛みや夜間痛、動作制限は日常生活にも支障をきたすやっかいなものですが、初期の段階から適切な治療を受けることで回復していきます。
専門機関をで受診し五十肩の早期回復を目指していきましょう。